サンロード青森

海の神霊 阿曇磯良

作: 吉町 勇樹




阿曇磯良あづみのいそらは、神道の神で海の神霊として崇められている。

伝説としては次のようにある。

第十四代仲哀(ちゅうあい)天皇(てんのう)の后である(じん)(ぐう)皇后(こうごう)三韓(さんかん)征伐(せいばつ)に際し、天神(てんじん)地祇(ちぎ)を常陸の鹿島に招き軍評定を行った。

しかし、磯良は永く海中に住んでいたため、貝や藻が体に絡みつき醜いので、それを恥じらい現れなかった。

そこで、住吉(すみのえの)(かみ)諸神(もろがみ)が海中に舞台を構え、磯良の好む舞を奏し誘い出すと、龍神に乗り磯良が現れた。(ねぶたの場面)

そして、竜宮城から借り受けた潮を自在に操る霊力を持つ(かん)(じゅ)(まん)(じゅ)を神功皇后に献上し、そのおかげで三韓征伐は大成功したという。

海の街青森では、青函連絡船八甲田丸建造六十周年や、間もなく青森開港四百年と祝事を迎えるものの、昨夏の猛暑による海水温の上昇で、我が陸奥湾を代表する養殖ホタテは大量斃死の状態になってしまっている。さらに、日本全域で相次いでいる深海魚の打ち上げやクジラの迷い込み、また、魚介類の不漁は近年続く黒潮の大蛇行の影響が大きいとも考えられている。

もはや、海が悲鳴を上げていると言わざるを得ない昨今。潮を自在に操る阿曇磯良と住吉神の御姿に、母なる海の回復と漁業繁栄、航海安全を切に願う。

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