青森市役所ねぶた実行委員会

十和田湖伝説・八之太郎と南祖坊

作: 福士 裕朗




熊野で一心不乱に修行に励んでいた南祖坊の夢枕に神人(しんじん)が立ち「この鉄の草鞋(わらじ)を穿き、草鞋の切れたところを汝の住家とし、弥勒(みろく)三会(さんえ)の神人の出世を待つべし」というお告げがあった。以来、日本全国の霊場を廻り、功徳を積みながら行脚の旅を続けた。

齢68のころ、十和田湖にたどり着いた時、ついにその草鞋の緒が切れた。この地を住家としようとするが、そこにはすでに秋田の八之太郎が住み着いていた。

南祖坊が岩山に座り経文を唱え始めると、八之太郎は大蛇に化身し、雷鳴とどろく中、挑んできた。南祖坊が法華経の経文を投げつけると、経文が鋭い剣となり八之太郎に突き刺さった。七日七晩に及んだ戦いの末、南祖坊の勝利に終わった。その後、南祖坊は十和田湖に入寂(にゅうじゃく)し、青龍へと姿を変え、「(せい)(りゅう)大権現(だいごんげん)」として祀られている。

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