ヤマト運輸ねぶた実行委員会

張順と李逵 水中の格闘

作: 北村 隆




 新鮮な魚を求め、船着場(ふなつきば)へやってきた李逵は生簀(いけす)とは知らずに船にあった竹の(すだれ)を引き抜いてしまう。中の魚は全部()げてしまった。漁師たちが大騒(おおさわ)ぎしていると、そこへ親方(おやかた)が来た。この親方は浪裏白跳(ろうりはくちょう)(ちょう)(じゅん)であった。

 張順は漁師(りょうし)の親方、水の中は大の得意。だが、李逵は水の中は苦手(にがて)。怒った張順は李逵の腕を(つか)まえ両足で船を()するとたちまち船はひっくり返り二人は水の中に()ち込んだ。

 しばらくして男は李逵を(つか)んで水面に現れたかと思うとまた、下へ(もぐ)った。青く()み切った水の中で二人はもつれ合った。李逵が男にぎゅーぎゅーの目に合わされ目を白黒(しろくろ)させているのをみて、たまたま用事でそこへ来た(そう)(こう)は「その男は俺たちの兄弟分(きょうだいぶん)だから助けてやってくれ」という。張順はそれを聞き、李逵のそばに(およ)ぎより(きし)の方に連れて来た。

 その後、二人は話し合ってみれば元々(もともと)互いに名を知っている間柄(あいだがら)だったので()()和解(わかい)したという。

 

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