公益社団法人 青森青年会議所
市川團十郎白猿 不動の睨み
作: 立田 龍宝
歌舞伎役者「市川團十郎」は市川宗家の中でも最高峰の大名跡である
市川宗家の 初代團十郎は成田山新勝寺に近い幡谷の出身の縁で 「成田屋」の屋号が用いられている また成田山新勝寺の不動明王を深く信仰しており 成田不動に願をかけ 二代目をもうけたという程 因縁浅からぬ両者である
十一代目市川海老蔵は 十三代目市川團十郎白猿を襲名するが 初代から三六〇年の伝統と新たな文化を受け継いでいく 成田屋が生み出した「歌舞伎十八番」のお家芸は「荒事」を中心に引き継がれ 途絶えた演目もあらゆる手法で復活上演もされてきた
また宗家だけに許された慣わしとして「にらみ」がある 襲名などの口上に於いて欠かせないもので 江戸時代には團十郎のにらみは邪気を祓い 瘧を治すといわれており 團十郎の眼力で一年間の無病息災を約束するのである
このねぶたは 不動明王の分身といわれる歌舞伎十八番の内「勧進帳」の武蔵坊弁慶が不動明王にこれまでの團十郎の功績を感謝し これからの團十郎白猿の活躍を誓い 不動の睨みで見得を斬る場面である
先人たちから受け継いだ伝統・文化を誇りに想い 更なる新しいものを受け入れ創造していくことが「歌舞伎」「ねぶた」ともに文化として継承され 再び動き出す