パナソニックねぶた会
一角仙人と龍神
作: 北村 蓮明
昔々、天竺のハラナ国に額に一本の角を持つ男がいた。幼い頃より人々に一角と呼ばれ、鹿の胎内から生まれたと噂されていた。やがて仙境にこもり、修行の末にすさまじい神通力を持つ仙人となり、皆から恐れられていた。
ある時、雨を司る龍神と争った一角仙人は、神通力で龍神たちを岩屋の中に封じ込めてしまった。そのためハラナ国は数ヵ月にわたり一滴の雨も降らず、大干ばつになってしまった。
憂慮した国王は一計を案じ、旋陀夫人という絶世の美女を仙人のもとに送り込む。果たして夫人の色香に迷った仙人は、夫人の酒杯を受けて酔い、一緒に舞を舞っているうちに眠りこけてしまう。やがて大地が激しく地鳴りを始め、岩屋は砕け散り、龍神たちが一斉に踊り出て仙人を追い立てるが、神通力を失った仙人は、ついに大地に伏してしまった。
龍神たちは、天地四方に飛び散って行き、国中に恵みの雨を降らせたという。