日立連合ねぶた委員会
九尾の狐 「玉藻前」
作: 北村 蓮明
平安時代末期、鳥羽上皇の寵愛を受けた「玉藻前」という絶世の美女がいた。
しかし上皇は次第に病に伏せるようになり、心配していた家臣たちは、陰陽師の安倍康成に依頼し、占わせると玉藻前の仕業と見抜く。
「中国では殷の紂王の后、妲己と名のり、周の幽王の后、褒姒と名のり、天竺では班足王の后となり、ことごとく王を惑わし国を滅ぼした九尾の狐。そして今、日本に来て玉藻と名のる」
安倍が真言を唱えると、玉藻は苦しみもだえ、形相を変え、ついにその正体を表わして、天空に飛び去って行ったのである。
九尾の狐はその後、那須野原に追いつめられ絶命したものの、巨大な毒石に変化し、近づく人間や動物等の命を奪うようになった。
しかし、玄翁和尚の霊力でその力は弱められ、「殺生石」として今も立っているという。