ＮＴＴグループねぶた

妖術師　滝夜叉姫

作: 北村　春一

平安(へいあん)時代(じだい)中期(ちゅうき)、天慶(てんぎょう)の乱(らん)にて無念(むねん)の最期(さいご)をとげた平将門(たいらのまさかど)の娘(むすめ)、五月(さつき)姫(ひめ)は怨念(おんねん)を募(つの)らせ貴船(きふね)の社(やしろ)に祈願(きがん)をかけ、その満願(まんがん)の日(ひ)、貴船(きふね)の神(かみ)より妖術(ようじゅつ)を授(さず)かり、名(な)を滝夜叉姫(たきやしゃひめ)と改(あらた)めた。その後(ご)、がしゃ髑髏(どくろ)など数多(あまた)の手下(てした)を駆(か)り集(あつ)め、天下(てんか)に災(わざわ)いをなすようになった。そのため朝廷(ちょうてい)より勅命(ちょくめい)を受(う)けた大宅(おおや)太郎(たろう)光圀(みつくに)は、陰陽(おんみょう)の術(じゅつ)を持(も)って立(た)ち向(む)かい壮絶(そうぜつ)な戦(たたか)いの末(すえ)、滝夜叉姫(たきやしゃひめ)を成敗(せいばい)した。天下(てんか)に災(わざわ)いを齎(もたら)した滝夜叉(たきやしゃ)姫(ひめ)であったが、死(し)の間際(まぎわ)には改心(かいしん)し平将門(たいらのまさかど)のもとに昇天(しょうてん)したという。

ねぶたは滝夜叉姫(たきやしゃひめ)が妖艶(ようえん)な遊女(ゆうじょ)の姿(すがた)で現(あらわ)れ光圀(みつくに)を惑(まど)わそうとするが見破(みやぶ)られ、妖術(ようじゅつ)と陰陽術(おんみょうじゅつ)の激(はげ)しい戦(たたか)いとなる場面(ばめん)である。