JRねぶた実行プロジェクト
蝦夷ヶ島
と九郎義経
作: 竹浪 比呂央
寛政二年(一七九〇)、松前藩士にして「松前応挙」と称された画人、蠣崎波響によって描かれた傑作『列像』
極彩色の豪華絢爛な衣装に身を包み、こちらをねめつけるような視線を送る十二人のアイヌの有力者・たち。精緻に描かれた、異国や別世界を思わせる姿形と気迫のこもった面持ちは、見る者に畏怖の念を抱かせ、目を奪われずにはいられない。
このねぶたは、昨秋、北海道博物館にて好評を博した列像の特別展から着想を得たものである。
源九郎義経は奥州平泉で自刃せず、生き延びて北を目指したと密やかに伝えられる。津軽半島からさらに北へ、北へ。海を渡り、広漠たる大地、蝦夷地(北海道)へと辿り着く。
そこに生きるは力強く、生命力に満ち溢れたアイヌたち。水草を求めて水辺へやってきた鹿を素手で仕留め、日々の糧とする。厳しい自然に立ち向かい、時に共存しながらたくましく生き抜くアイヌの姿と、それを目の当たりにして己の天命を全うしようと固く決意する義経であった。
北海道新幹線の開通を祝し、更なる交通網の発達と沿線の繁栄を祈願するものである。