青森市PTA連合会
羅生門
作: 内山 龍星
平安時代。飢餓や辻風などの天変地異が打ち続き、京の都は衰微し、荒廃した羅生門は黒々と影のように立っていた。
その羅生門に鬼が出没するという噂を聞きつけた渡辺 綱は鬼退治のため道を急いでいた。
その時一人歩きの女に出会った。女は夜更けの恐ろしさのせいか、見知らぬ綱に「私をお送り下されまいか」と声をかけてきた。馬の歩みを遅めた綱の後ろを 女がついて来た。すると、生暖かい風が吹き女はたちまち眼光鋭い鬼女に変じ、綱につかみかかったが、綱は源氏の名刀『髭切りの太刀』で鬼の腕を見事に切り 落とした。鬼女はいづこともなく逃げ去った。
日が過ぎ綱の養母が上京して来て、国への土産話に鬼の腕とやらを見せて欲しいと言われ、やむを得ず封印していた鬼の腕を差し出すと、養母の姿はみるみる鬼の姿に変わり「これはわれの腕じゃ」と叫ぶや鬼女となって天空へと失せてしまった。