日立連合ねぶた委員会
羅生門
作: 渋谷 一擲
京都の守護職、源頼光の館で酒宴の最中に、四天王の一人渡辺 綱(つな)は、京の都を南北に走る朱雀大路(すざくおおじ)の南端に建っている、「羅生門」に鬼が住着き、夜な夜な現れるので、人がおそれて通らない、という噂話を聞いた。
さっそく、真偽を確かめる為、渡辺綱は一人で夜が更けてから、「羅生門」に向かった。
着いた証の札「禁札(きんふだ)」を立てて帰ろうとしたまさにその時、にわかに、暗雲がたち込め、雷光が走り、背後から何者かに兜の錣(しころ)を掴ま れた。一瞬、腰の銘刀「髭切丸(ひげきりまる)」を抜き、下から切上げた途端に、鬼は凄まじい悲鳴を上げて、闇の虚空(こくう)に逃げ去った。足下には、 切られた鬼の左腕が落ちていた。
そののち、鬼は妖術を使い、渡辺綱の乳母、白妙に化けて、左腕を取り戻しに来るのであった。